各宗派の特徴〔現在の主な仏教宗派〕 |
宗派 |
開祖 |
本尊 |
根本の経典 |
特徴 |
律宗 |
鑑真
688-763 |
毘盧遮那仏 |
四分律蔵
梵網経
法華経 |
奈良の唐招提寺が総本山
戒律を守ることを修行の中心におき、戒律
を守り実践することが仏に至ると説く。
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華厳宗 |
良弁
〔689-773〕 |
毘盧遮那仏 |
華厳経 |
東大寺が大本山
仏教の根本思想である縁起の思想を
深めたもので、すべての人は本来
仏であることを説く。 |
法相宗 |
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特定なし |
解深密教
成唯識論 |
興福寺と薬師寺が二大本山
唯識の立場から、すべての存在は識だけ
であると説く。学問主体。
実践は難しいと認識して説くのが特徴。
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天台宗 |
最澄
767-822 |
特定なし
釈迦牟尼仏 |
法華経 |
総本山は比叡山延暦寺
法華一条の教えを根本とする。
法華経が悟りに至るまでの唯一のより所。
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真言宗 |
空海
774-835 |
大日如来 |
大日経
金剛頂経 |
代表的な総本山は高野山金剛峯寺
大日如来を中心とした即身成仏が特徴。
三密の行の実践で速やかに仏になれる。
一般の仏教と区別してさらに奥深い密教
こそ究極の奥義であると説く。 |
融通念仏宗 |
良忍
1072-1132 |
十一尊天得如来 |
華厳経
法華経 |
大阪平野の大念仏寺を根本道場とする。
一人の念仏がすべての人の念仏と融通
して、極楽往生のための絶大な力となる。
念仏という簡単な行で社会に奉仕できると
説いて実践法を示した。 |
浄土宗 |
法然
1133-1212 |
阿弥陀如来 |
無量寿経
観無量寿経
阿弥陀経 |
総本山は京都の知恩院
阿弥陀如来の誓いを深く信じて「南無阿弥
陀仏」を称えることによって、どんな罪深い
者も苦悩から救われ安楽な日々を過ごす
ことができるという教え。
称名念仏の大切さを強調するのが特徴。
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浄土真宗 |
親鸞
1173-1262 |
阿弥陀如来 |
無量寿経
観無量寿経
阿弥陀経 |
十派あるが西本願寺と東本願寺が有名。
「南無阿弥陀仏」の名号を称えきく信心に
よって浄土に往生して仏果を証することが
できると説く。
阿弥陀仏を信じる信心だけで極楽浄土に
往生できるとして他力本願を強調する。
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時宗 |
一遍
1239-1289 |
阿弥陀仏 |
無量寿経
観無量寿経
阿弥陀経 |
総本山は神奈川県の清浄光寺
誰でも阿弥陀仏のはからいで極楽浄土に
往生できるという教え。
民衆教化に「踊り念仏」を取り入れた。
現在の盆踊りの起源となる。 |
臨済宗 |
栄西
1141-1215 |
釈迦牟尼仏 |
特定なし |
妙心寺、南禅寺、東福寺、建仁寺など
他にも各派あるが、妙心寺が大きい。
仏の道は言葉や文字でなく、心から心に伝
えられるものである。衆生の心と仏心とは
元々一つであるので仏を外に求めるのでは
なく、自分自身の中に求めなければならない
、悟りとは自己の心のありさまを徹底して見、
識ることであるという教え。
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曹洞宗 |
道元
1200-1253
螢山 |
釈迦牟尼仏 |
法華経
特定なし |
大本山は永平寺と神奈川県の総持寺
座禅することに生き〔只管打座〕
座禅している姿そのものが仏であると
信じること〔即心是仏〕が特徴。 |
日蓮宗 |
日蓮
1222-1282 |
南無妙法蓮華経
七文字。
その回りに
十界曼荼羅を
掛ける
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法華経 |
総本山は身延山久遠寺
日蓮の教えは五箇の教判と三大秘法である。
五箇の教判とは流布するべきは南無妙法蓮
華経でその使命を持つのが日蓮である。
三大秘法は具体的実践を示したもので、
「南無妙法蓮華経」の題目、本門の戒壇、
本尊によって仏国土を作り上げ立正安国の
実現を目指すということである。
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黄檗宗 |
隠元
1592-1673 |
特定なし |
特になし
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大本山は宇治の万福寺
参禅によって仏心を究明して仏陀と同様の
境地を体得する。
浄土往生や念仏と座禅を組合した「念仏禅」
を実践するのが特徴。
また、真言陀羅尼も用いる。 |