六月にもなりますともうすっかり田植えも終わり、春先までさびしかった
田んぼは青々としたじゅうたんを敷き詰めたようになっています。

この苗はあと数ヶ月もすれば稲穂になり、秋には実ることでしょう。
そして刈り入れされて玄米となり、精米されてお米になって行く
わけですが、そこにはある一定の循環と再生があります。

私たち人間も同じようにこの世に生まれ、子供から大人になり円熟した
人生を終えるとやがて刈り入れの時期を迎えます。

私達の命は刈り入れされると何処へいくのでしょうか。

そう考えると何か無常な気持ちになってきますが、現実としては
肉体は荼毘にふされてお骨となります。魂はさまよいながら
元の生命の働きに帰ってゆき、次の縁を待つと云われています。

そしてその働きを表しているのが五輪塔であり、卒塔婆なのです。
いわゆる地、水、火、風、空の宇宙を構成する五元素をキャ、カ、ラ、
バ、アの梵字で表しています。またその形や梵字は種子といわれ、
仏様やその性格を現す文字となっています。

ですから私達の身体もこの五つの元素で結ばれており、結ぶ条件が
変わるとそれぞれの元素に分解してしまいます。人が亡くなるという
ことは、これらの元素が完全に無くなる訳ではなく、元の姿に分解して
しまったということなのです。

またこの五元素は、科学的な原子とか分子とかいうものではありません。
私達のこの世界に充満する命の働きを表しているのです。

お墓にある五輪塔を見て頂けばよくわかりますが、一番下にある形は
大きな四角で大地を表しています。次の形は丸い球で水を表し、次の
形は三角で火を表します。そして半円の形は風を表し、その上に宝珠が
乗っています。この宝珠の形は空を表しています。

それぞれに刻まれている梵字が種子と呼ばれているのは、まさに植物の
種の性質に似ているからなのです。

植物の種はその大きさに関係なく、その種自体に植物として根があり、
茎、葉、花、実などの性質を秘めております。そして温度や水、土や
日光によって発芽し、立派に成長して花をつけたり実をつけたりします。
同じようにこの五つの梵字にはそれぞれの性質と働きがあるのです。

一番下の地はしっかりと種を包み込み、水は養分を与え、火は温度を作り、
風はその温度を調整します。空は日光を与えてくれます。そそれぞれの
働きがあってこそ成長するのです。

五輪塔や卒塔婆は仏様の命の活動を表しています。そして私達の命の根源を
含み、仏様の徳を備えているからこそ故人の供養には絶対必要なのです。
また故人の魂と私達を結ぶ大切な架け橋でもあります。


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