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般若心経の心〔一回〕


般若心経はご存知のように「仏説摩訶般若波羅蜜多心経」という文字から始まります。直訳すると、
「仏の説く偉大な智慧で、悟りの世界に行く道を示した真髄となるお経」ということになります。

般若心経は略して「心経」とも呼ばれています。心のお経なのですが、ここで「心経」は仏教の真髄と
解釈する方がよいと思います。

たった262文字の短いお経の中に仏教の真髄が凝縮され、無限の不思議な神秘的な力を持っています。

お大師様は般若心経を「誦持講供すれば苦を抜き楽を与え、修習思惟すれば道を得、通をおこす」と云って
おられます。又「生死の海を渡すいかだ」とも云われ、その呪術の強さとすばらしさについて述べられています。

また、般若心経を一日百回唱え、それを八十日、百日と続けると大きなご利益を頂いて心願成就したという
話も数多くあり、現代においても深く信仰されています。

般若心経を解釈する時大きく分けて四つに分けることができます。@「経題」A「序文」〔説話〕B「般若」
〔智慧〕C「明呪」〔陀羅尼〕
です。その一番重要なところ〔クライマックス〕は何といっても最後の「明呪」と
呼ばれる真言陀羅尼の部分ではないでしょうか。


ここでは前後しますが、最後の明呪について考察していこうと思います。この部分は大切なところなので漢訳される時にそのまま原文をそのまま音写したと云われています。訳しようがないほどすばらしい陀羅尼なのです。

般若心経を唱えるときこの部分の「ギャテイ、ギャティ・・・・・ボージソワカ」までの十八文字を繰り返し唱えて
強調することもあります。

私はこの部分に仏様の悟りの世界へ導く不思議な力があるような気がするのです。一般的に般若心経には
空の字が七回もあり、空の思想であると云われています。しかしそれをより神秘的に、そして効果的にして
いるのがこの部分であると思います。

先日檀家さんが古くなった先祖のお墓を新しくするので「性根抜き」に行ってきました。娘夫婦が共に働いて
いるので「性根抜き」はおばあさん一人でした。

約束の時間の十分前に行くとおばあさんはすでに来ているようです。墓の奥の方で何やらぼそぼそと声が
するのです。近づいて行くとおばあさんのお経の声です。

さらに近づくと「ギャティ、ギャティ・・・・般若心経」と唱えながら、墓石の前にしゃがんで一心不乱に拝んで
いるのです。私がそばに行ってもわかりません。おばあさんの横に座って顔を覗き込むと、やっと気がついて
照れ笑いを返してくれました。

話をすると、何と一時間前にきて掃除をしてすぐ終わったので心経を唱えていたそうです。「年取ったら
せっかちになるもんで・・・」と言いながら話をされるその顔が妙に生き生きとして美しく感じました。
そして安らかな顔が印象に強く残っています。

まさに一生懸命先祖の菩提を祈る無心の気持ちこそ般若心経の「空」に通じるものではないかと思うのです。
心を空っぽにして一心に祈る姿に心経の心を見たような気がしました。

最後の十八文字を強いて訳すと「行こう、行こう、彼岸へ行こう、みんな一緒に行こうみんなそろって悟りの
彼岸へ完全に行き着こう。そして幸せになろう。」となります。

この「ギャティ、ギャティ、ハラソウギャティ、ボーディソワカ」までの漢字十八文字にこの般若心経に秘めら
れたすばらしい真髄があります。

この言葉を唱えることによってすべての苦しみを取り除き、心のやすらぎを得るのです。先のおばあさんに
とって心経は大きな心のやすらぎになっていたに違いありません。

般若心経は大明呪であり、大心呪です。一心不乱に何度も繰り返す事によって安心を得ます
又、自身を覚醒し霊験あらたかなものにしていくのです。

 
   
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